自分で「やってみたい」を叶えるために。子どもを見守りながら開発したキャンプ用薪ストーブ
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Cancamperのブランドコンセプトは『子どもと一緒に本気で遊ぶ』。
今回はブランドの立ち上げから製品開発の経緯について、PRを担当する高崎が振り返ります。
1stプロダクトの「焚き薪ストーブ(s2403)」は子どもとのキャンプを楽しみつつも、煙突が低いと燻され、高いと横揺れしてしまう危険性、薪をくべるために覗き込む姿勢から来る腰痛、設置や撤収に手間がかかるといった不便さを解消するキャンプの必需品です。
「子どもとの時間は長くない」
これは現在、小学校6年生の男児を育てながら、ひとりの母親として痛切に感じていることです。私と息子の場合は異性ということもあり、気が付けば一緒に何かに夢中になるということがなくなっていました。小6といえば親といるより、ゲーム、動画の方が楽しい、そんな年齢です。
ファミリーキャンプを楽しむ親からは「親子の絆を深めるため」「子どもの主体性を育むため」にキャンプに行くという声をよく耳にします。重い荷物を運ぶ、薪を割るなど力仕事は父親の腕の見せ所ですし、実際に我が家の息子もキャンプに連れて行くと、火おこしやテントの設営など、日常では体験できないことに対し、自ら「次はどうしたらいいかな?」「こうしたらもっと上手くいくかな?」と意欲を見せてくれます。
Cancamperはそんな子どもたちの「やってみたい」を応援するという使命を持って立ち上げました。
安全性を徹底的に見直して生まれた「焚き薪ストーブ」
そもそもキャンプではテントやタープをピンッと張った状態で設営しなければならず、広いスペースが必要なうえ、あちこちに張り巡らされたガイロープに足を引っ掛けてしまう可能性があります。
薪ストーブもガイロープで固定する方法が一般的ですが、熱々の鍋をのせた薪ストーブの隣を子どもが横切る度にヒヤッとした経験が何度もあります。おまけに夜間は周囲が見えにくいけれど、照明が明るすぎると他のキャンパーの迷惑になることも。
このジレンマを解くため、キャンキャンパーの「焚き薪ストーブ(s2403)」はガイロープではなくペグで固定(特許出願中)することで転倒を防止し、設営の手間を軽くしました。
地面がぬかるんでいたり、柔らかい場合、風がある日はペグを2本使うクロス打ちにすることでさらに安定感が増します。
さらに20㎏の重しを載せ、歪みや傾きが生じないかなどのテストも自社で行いました。
煙や風のトラブルでキャンプの楽しさを半減させない
「焚き薪ストーブ(s2403)」の当初の構想は直線的な煙突でした。煙突は真っ直ぐ伸びている方が煙が効率よく上昇するからです。しかし、水のせせらぎが心地よい川沿いのキャンプ場は風の通り道となっていたり、経験上、林間サイトでも風の影響を受けてしまうことがあります。
安全面は妥協できないため、煙突の構造を見直す必要がありました。
「なんとか吹込みによる逆流を防止できないか」
この課題を解決するために採用したのが煙突の先に取り付ける45°のエルボでした。これにより煙突を風下に向けることができるようになりました。
キャンプ用のコンパクトな薪ストーブは組み手立てやすいよう煙突が短いタイプもあります。そういったタイプはソロキャンプなど荷物を少なくしたい方には向いていますが、排気不良の原因となり、黒く、くさい煙が発生してしまいます。加えて、薪を燃やすとどうしても煙で目が痛くなったり、薪に水分が残っていると舞った火の粉で衣類に穴が開くことがあります。子どもは気道が狭いため、煙が原因で咳混んだり、炎症を起こしてしまうことも。
「焚き薪ストーブ(s2403)」は5本のパイプとエルボ、スパークアレスターを繋ぐことで約150㎝まで延長でき、子どもが煙を吸ってしまうリスクを低減するとともに、キャンプの大敵である雨や雪が入りにくいように考慮しています。
いざ、焚き薪ストーブとともに大自然へ!
私たちは「焚き薪ストーブ(s2403)」の開発当初から様々なフィールドへでかけ、既存の薪ストーブの不便さは煙や火の粉だけではなく、高さにも問題があると身をもって経験しました。
薪ストーブは炎が直接地面に触れなくても、炉の位置が低すぎると焦げたり、枯れ葉などに引火します。雪の上では炎の熱で雪がとけて不安定になることも想定しておかなければなりません。
そこで、「焚き薪ストーブ(s2403)」は3段階で調整できるように延長脚を付けています。薪をくべる際も、炉の位置が低すぎると腰を悪くするため、高さを調整することで腰痛持ちの方も快適に使えるようになりました。
子どもの「自分でできた!」にこだわった組み立てやすさ
薪ストーブは組み立てや薪の準備、火が消えないように薪をくべ続けなければならないなど、手間がかかります。灰などの後始末や、煙道火災を起こさないように煙突の掃除も欠かせません。単に暖を取るだけなら石油ストーブの方が手軽です。
ただ、炎のゆらぎや、山の中で聞くパチパチと薪が爆ぜる音は、子どもが成長した後も親子共有の思い出となってくれます。
「自分でできた!」
そんな経験をたくさん積んでほしいから、ある程度成長したお子さんなら設営は任せられるような構造を考え、「焚き薪ストーブ(s2403)」には工具なし※でも使えるように指先で絞めることができる真鍮のネジを採用しました。
※本製品にはパーツを取り替えるための工具を付属しています。
キャンプの時間が家族の宝物となるように
子どもが成長してからも長く使えるように、錆やすく、高熱で変形しやすい鉄製ではなく、0.8㎜厚の高強度なSUS201製にもこだわりました。
この素材は寒冷地で使用しても外気温と炉内の温度差で変形しにくいという特徴があります。
また、一般的なキャンプ用の薪ストーブはコストを抑えるために切断したまま仕上げることが多く、角部などの面取りをしていない製品が多数あります。しかし「焚き薪ストーブ(s2403)」は触れたときにケガをさせない、組み立て時の不具合を出さないよう、確かな技術を持った板金職人と試作を重ね、バリ取り加工※を施しています。
※バリ取り済みですが、取り扱いの際は保護手袋を着用ください。
料理も防寒も一台で解決。安全で楽しい経験を
薪ストーブのメリットは暖かく、揺らぐ炎のいやし効果だけではありません。冬キャンプ以外でも料理の熱源として役立つようにアルミ天板の他、調理用の網型ごとくをオプションとして用意しています。
コンパクトながらも炉の奥行きは40cmあるため、一般的な30cmの薪が入る点もこだわりです。寒冷地でのキャンプの場合、持参したカセットボンベが気化せず火力が安定しないことがあります。その点でも「焚き薪ストーブ(s2403)」は火力を保ち、焚き火とは異なり鍋などを置いた際も安定します。
3面には耐熱ガラスを配しているため薪の残量も確認しやすく、気が付いたら薪が燃え尽きていたという心配も不要です。
今は春といえども標高が高いキャンプ場は寒暖差が激しく、夜はまだまだ薪ストーブが活躍する季節です。
キャンプに出掛けたら、薪ストーブに火を灯し、ぜひお子さんの表情を見てください。ガラス越しの炎に照らされる子どもたちは皆、自信に満ち溢れています。